風のささやき

なぐさめの夜

心を鎮めて
今日一日の煩いを
夜の闇へと明け渡す

目を閉ざす頬に
跡引く涙がつたわるときに
それを拭う者がいなくとも
決して無力ではない
苦しみは心を強くする

過ちはどこにもなくて
痛みを思い出し
笑える頃には
黄金に輝く自分だと

やがて訪れる朝
一緒に迎えようとする
夜であることを
心の棘に手を当てて
慰めをささやくために
濃い闇に包んで
優しい夢へと誘うために
煩いを和らげようと
訪れた夜であることを

安心して眠れ
慰めの毛布に明日の憂いは包んで
一人の時間を
温かな夜の目に見守られながら
なんでもないのだと
静かに風は吹く