風のささやき

夜のみの虫

青白く光る涙が
哀れに糸を引く
僕は夜のみの虫です
闇の中を宙ぶらりんに
夜風に吹かれている者です

僕を吊るすのは細い透明な糸
切れたときには地面にぶつかり
この身は四方に飛び散ります

そんなみの虫がたくさん
大木の枝にはぶら下がり
月影を浴びて揺れている
景色はこんなにも寂しげです

星屑を吐き出して
高貴な者もおりますが
たいていは哀れなゴミ屑をまとい
身一つだけがやっと入れる家の中
身動きも苦しく過ごします

ときおりは聖書のお祈りや
お経を唱える声もしますが
独り言のようで
真剣味のないものも多いので
不協和音の音楽です

大木には美しい紫の花が
咲いて香ることもありますが
そこへと動くこともままならず
みのから臆病に顔を出し
うらやましげな顔をして
気まぐれな風に
弄ばれるばかりです