風のささやき

秋の日に

百合の花弁をなめた
朝の洗礼
いにしえの花瓶の思い出に
雨は灰色に窓を叩き
溜息のように深まる祈りの
濡れる瞳は修道院の窓辺
乙女の指先の
真っ白な関節の形象に
黙した言葉が高ぶる
静謐な空間は
あふれる涙の深みに耐え
色のない薄い唇は
暗闇にうずまく啓示の
細い羽虫の光線をなぞる
あなたの名前に呼びかける
喜びに震える