風のささやき

向日葵畑に

大輪の向日葵の上
太陽が強すぎて
すべてがおし黙る午後

太陽のくれる永遠の真昼に
長く身を浸し
張りつめてるほどに
僕は強くなく
僕はまたけだるい疲れに
すべてが眠りたくなる

ゆっくりと時間をかけ
地上のものは焼かれている
渇いた草の匂いが
鼻孔をくすぐり
僕の遠い記憶をかき回す
その底から呼びかける声の
どうしても聞き取れない
麻酔のような物憂さが流れて

向日葵の間の白い小道は
なだらかな丘の頂上へと続き
空の下に道を失う
とぎれた僕の感覚のように

額から流れ出る汗に
疲れた足をさする
見上げる空には鳥が
空間を自由に横切っている

青い空の調べを感じながら
風をつかむ強い翼が
僕の目の中に
キラキラと光って痛かった