風のささやき

夕映えに

夕日のさざ波が 麦畑の上に打ち寄せる
金色の 寂しい風をひきつれて 地上を
焼き尽くそうとするかのように

すべてのものは 自分のねぐらに帰った
地を這うものは 土の中に
花々は顔を閉じ 自分の内深く そうして
小鳥たちは安らかに 寄り添いながら眠るだろう
暖かな羽毛の夢に 静かな星に守られた夜を

帰る家もなくとり残された
僕一人だけが 赤い道の上
このままの寂しさに 火を点され
力無く夕日に 燃え上がってしまいそうで

遠くに明かりを点す 農家の窓辺よりも暖かく
僕の居場所を与えてくれる
あなたの瞳に 痛いほど
会いたかった