風のささやき

静かな陽ざし降り注ぐ
おまえの水面が映し出す空は
小さな風の群にそよぎ
何と平穏な色彩に憩うのだろう
黄色の野の花に縁どられ

小鳥たちの楽しげに
さえずる森の緑を
その緑以上に
愛しげに映し出すのは
おまえのもつ深い愛情に
他ならないと
雪をかぶる山々は
おまえの懐に
銀色の峰を横たえて

僕の耳の静けさを
時折やぶって走る風は
草花の香りに満ちて
思い出したようにさざなみが
真綿の雲をゆっくりと
その面に進めて行く

岸辺に立つ旅人の
僕の姿をも映しとる
おまえの冷たい水には
この手を濡らし
小さな波をたててみる
その深い知恵に遊び
この肌で感じたくて

何ものをも拒まずに
その美しさを
映し出してみせる
僕の貧しい瞳を
おまえの深いまなざしに
習いたい