古城にて
雲の遥か上がまぶしい あれは光りが集まっている場所 この世で光りになったものもそこにいる 何枚もの鏡をはめ込んだ 空を上っていくのだ 鏡と鏡とを反射しながら 光りと光りとが共鳴し いっそう明るむ場所 森の若葉に集うような 楽しい語らいが反響している 一体どんな心であれば そこにたどり着けるのだろう 城壁の裂け目からは 白い小さな花が伸びて 夏の陽射しを身につけていた その花の真っ白な気持ちのほうが 僕よりもはるかに そこに近いように思えて さわがしいだけの胸を メスで切りつけたかった