風のささやき

大聖堂の広場に

広場を占拠していた鳩が夜に眠り
人々の会話が青い月の下に静まると
昼間の日差しの火照りを吐き出す
大聖堂の壁にまた数えきれない
聖者の彫刻が静謐な祈りを始める

あまたの闇の海の星にむかい
何百年も続く終ることなき夜の儀式
広場に満ちる空気はその詠唱にふるえ

ベッドに座り窓越しに眺める
小さな額縁の絵画
月光は十字を照らし
その影が夜風に揺れる

暑い額をそっと
ガラスに押しあてる

火照りのとれた鎮まる心
清められた舌から
夜に言葉をささやきたいからだ

天に捧げられた
高ぶる大聖堂の
形象を真似て