風のささやき

大理石の広場に

鳩と人とが交錯する 喧噪の広場に一人
天を見上げたままの 大理石の像は
日差しの陰影に かすかに表情を変える
時には憂鬱に 時には楽しげに
小さな風にわく さざなみのように

その白い肌を通し 伝わる魂の震えは
揺るぎない形象にまで高まった
地上をとらえて ゆるがない
足の指先 ふくらはぎの隆起

強い風を押し返し
青空に染まる 広い背中
騒ぐ人々の声からは閉じた耳
弱すぎる僕の心には
うらやましかった すべてが