風のささやき

白い広場に

人と鳩とに焼き尽くされる 真夏の広場で
ざわめく雑踏の狂気に うなだれる僕は一人
高貴なその人のことを 考えていた

燃え盛る大きな太陽の下で 青空を背中に両手をひろげ
羽ばたくことのできない よごれた羽のように揺らぐ
十字架の影を 白い石畳に焼き付けて

そこに思い描いてみる 輝く面影には
いつまでも たどりつけない僕の
貧しい罪人の涙を 星の数ほどにも捧げていた