風のささやき

隔たり

肩を落としながら二人
歩いていた夕日の中
笑いあっても
ちっともおかしくない心は
お互いにひどく
寂しいだけだった

人はどうして
こんな隔たりに
気がつきながらも
投げだした腕の
わずかな温もりに
抱擁を重ねようと
無惨な日々に身を焼くのか

噛み砕く種の味を
いつまでも口の中に
思い悩む一人
うつむきながら歩く道端には
たむけのかすみ草が
咲くのだろうか

目を閉じて
手を放してしまえば
忘れ去られる温感は
星の遠ざかり行く速さで

人は歩いてゆくのだろう
最後には一人
自分の呼ばれる夜のもとへ
闇の中に少しずつ
その姿を消していきながら