風のささやき

雨の夜に

雨粒が白い糸を引きながら
夜のとばりを流れて行く
街はにじんでいた明かりを吹き消して
疲れはてた肢体のように重苦しい眠りにつき
そのしじまの中一人目を覚ます
僕の心が何処からともなく
降り落ちてくる悲しみに
心を締め上げられている

僕の部屋の真っ暗な闇に
いくつもの思いを投げ込みながら
アスファルトの地面や屋根に
たたきつけられる雨の
耳にこびりつく音を聞きながら
(眠れる者達の静かな吐息が
 目覚める者達の上には
 重たくのしかかってくる)

僕の心は夜の闇を渡る
街の通りをさまよい
柳のようにずぶぬれて
葉を垂れる森の中を走る
僕の心を受けとめて鎮めてくれる
女性の面影を求める

雨に濡れている自分の顔を
窓の上に眺めながら
(時折その顔が雷の光りで光る)
僕はただ受けとめるしかなく
何処からともなく降り落ちてくる
僕の中の僕のものでない
そんな悲しみを一人・・・・・・