風のささやき

春の日に

どことなく
不細工な茶色い鳥だった
黄色のくちばしから
奇妙な声で鳴いていた
地面をつっつきながら
ベンチの僕を
横目で眺めていたから
昼食のパンをちぎって投げた
一目散に寄ってきた彼は
黒い目をますます黒く

そんなに急いで食べたら
味もわからないだろうに
首を忙しく動かして

彼のおなかはけれど
ふくらんだのだろうか
少し重たそうに
羽をバタバタと飛んで行った。

穏やかな風の真昼どき
僕の上には満開の桜
空からのおかしな印象に
少しは幸せな気分に
なれた春の日。