風のささやき

とある朝に

長い雨に傘を咲かせる
六月が
窓をたたくリズムにも
少し飽いてきたきたころ
曇り空にたわむれに
あじさいの花を
花瓶にさした。

子供達の着る
合羽の渡る
横断歩道
赤い車も濡れて
白い車もワイパーを動かす。

ダムを満たして空っぽな
空には虹が橋を渡し
瞳が楽しんでいた
赤い屋根の軒先の
七色の雨宿り。

買い物帰り
それを誰かに
伝えたくって
あなたに電話をかけてみた。

弾んだ会話に
早く眠った朝
優しい光りが
カーテンの合間から
顔の上にこぼれ落ち
生またてた初夏の
消息を伝えていた。