風のささやき

買い物

僕は靴を買った
僕の足にちょうどよい大きさの
茶色の革靴

歩行者天国
人出の多い日曜の街並み
とある店

たくさんの買い物客に混ざって
選ぶその靴は
代り映えのしない既製品

みんな
さして苦にもせずに選び取り
靴を買って行く

僕は少し恥ずかしく思いながら
手にした茶色の革靴を
店員に渡す

ぶっきらぼうな店員はそれを
何事もなかったかのように
包み手渡す

明日の朝からは
この靴に窮屈な足をおさめて
電車にのる不機嫌な僕の姿を

うなだれて僕は
人気のない裏道を
選んで帰った