風のささやき

公園で

もうすぐ
日は
暮れてしまおうとするのに
錆びついた音をたてる
ブランコを
小さな女の子が
まだ帰りもせずに
揺らしている
一人
遊び友達とは
もう別れてしまったのか
つまらなそうな素振りで
うつむきかげんに
ブランコの下には
水たまりが
できているから
足を真っ直ぐにとのばし
靴が濡れないように
気をつけながら。

この公園の
たった一つの街灯にも
やがて白い明かりが点って、
そうしたら夜が
冷たい風をひきつれて
訪れてくるから
街も
その顔を恐ろしいものに
変えてしまうから
今日はもう
家路へと足を向けて。

明日になれば
太陽が
水たまりを乾かして
誰かが背中を
押してくれる力で
ブランコも
勢いよく
揺れるようになるから
今日はもう
家路へと
夕日が赤く
背中を
見守っていてくれる間に