風のささやき

柔らかな今朝の
陽の光りを浴びて
名前も知らない野の草が
一輪の白い花をつけている
街をはずれた古い教会の
陽射しを染める
ステンドグラスの
窓の下
あまりにも
嬉しそうなその顔に
お前は一体
誰が育てたのかと
小さくなってたずねる
僕の声には
そよ風に吹かれる
花が
少し小首を傾げる。

きっとお前は
教会から聞こえてくる
数しれぬ賛美歌や
今朝のように
まぶしい
いくつもの朝に
迎えられて
花を開いたのだ
だから今朝は
朝の露で化粧をして
花びらの一枚一枚から
あふれんばかりの
明るい笑顔を
のぞかせているのだ。