風のささやき

春の日に

今日
こんなにも暖かな春の風は
川縁の小道を吹き
若草をつけた
大地の上には優しく
春の訪れを
知らせて走りながら、
川の水面には光りたちと
戯れきらめきながらあった。

まぶしい河原へと
小石を踏みながらおりてゆき
大きな雲のいくつもを
小さく見せる空の
体を染め抜く青さの下で
僕は体をのばすように
新しい大気を呼吸しながら
魂は明るい陽射しが
静かに降り注ぐなか
正しい言葉を語り
やむことを知らなかった
小川のせせらぎが
歌いやまないように。

川を隔てて
春の花ほころぶ公園には
子供達が
大人達に見守られながら
重々しく
体を包んでいた
冬の服をぬいで
小さな腕を広げ
無心に戯れあっている
(幼い者達が 明るく
 あふれる 光りの中で
 微笑んでいることはうれしい
 何一つ 悲しい営みは
 すべて 消し去って
 限りない信頼に広げきった
 腕一杯に与えられる祝福が
 子供達に すこやかに
 抱かれるようにあれ
 こんなひとときが いつまでも いつも
 世界のすみずみにまであるように)

陽射しに暖まりながら
蝶をとまらせていた
色とりどりの花が
風に揺られて
いっせいに
微笑んだように
見えた