風のささやき

草原に身を横たえて

もう浮かび来るな
古びた過去の断片よ
すべては徒労だった試みよ
かき乱さないでくれ
これ以上には
ぎこちなさで一杯の
僕の生をもう。

拷問のように惨めさを
味わい続ける
頭はくたくたになり果てて
気怠い手足を横たえる僕は
陽の光りが眩しすぎるからと
涙をにじませているのに
厳しさに耐えかねて
瞳を閉ざし
ひとときでも休める
眠りの淵へと
身を委ねようとしているのに。

甘い香りの
白い花咲く夢の中
うすら陽に温もりながら
身を横たえて
忘れてしまいたいのに
柔らかな気持ちに息を深くついて
一つ一つ
僕の体にしみついてしまった
悲しい癖や目線を
おどけたポーズを
風に流れゆく花びらに乗せて
この手から
足から
頭から
目覚めたときには
何も知らない気楽さで
動き出せるように。

ーそれでもこの心は
 再び辿りつこうとするだろう
 今日の日の僕の所へと