風のささやき

夜に

やがて
日が落ちて行き
家々の明かりや
看板の文字が
浮かび上がって
見えてくるようになると
夜が僕らをかえしてゆく
一人一人が自分と
一人むきあう時間へと
誰かがついた溜息も
闇の中に飲み込まれて
誰の耳にも届かない
机に向かって
考え事をしていた僕は
いたたまれなくなって
便せんに
長い手紙を書いていた