風のささやき

高原にて

寂しい夏の日の
人気のない高原を
僕は小さな窓辺から
頬杖をついて眺めている
冷たいもやがかかった中を
片わの僕の魂が
あちらこちらの白樺の枝に
ひっかかり一人
落ちつくことなく
漂白していることを
時折
白い腹をみせた鳥に
ぶつかられて空中に
いきおいよく飛び散り
青ざめて
逃げ込もうとする林では
死んでいった
風景達が発酵して光る
陰鬱な光景に
からみつかれて
もがき苦しみ。

ああ何というおろかで
悲しい遊戯に
耽っているんだ
こいつは。