風のささやき

夏の終りに

夏の終わりの
暮れてゆく街を
遠い瞳で眺めていた
滑り台のような
夕日に赤い光沢の坂から
見下ろすように
色を変え始めた並木や
明かりのともってゆくビルの
数を数えたりしながら。

手を取り合って
歩いていた者達も
今は離れて
それぞれの人生に
染まろうとしている。