風のささやき

砂浜にて

あたたかい潮風に 
椰子の葉が揺れる
南の方の海では
夜光虫という虫が 波間に
夜の海を 輝かせるという

僕の足跡を洗い流して行く
けれど この夏の海は
黄色い月影を寂しく
水面へと浮かべるだけで

ゆっくりと押し寄せては
砕けて行く波の音
僕はまた あなたへと気持ちを寄せて
高まり行く 心を感じている

海辺の街の 明かりは背中に
遠くには浮かぶ 客船の明かり

その上に輝く星々が
いくつもの表情で
空をこんなに 綺麗に飾る夜には
あなたは何を思うのだろう
頬杖をつく 窓辺から

夏の闇は 暖かく僕を包み
大きく広がるあなたの面影は
僕の中には 入りきらないほど

いつの日にかは 波打つ僕の心を
あなたの岸辺へと打ち上げて
しぶく波にあなたは
足を洗うのだと 僕は思い