風のささやき

六月

しっとりと
風景をふくらませていた
六月の白い雨が
いつの間にか小降りになって

やがて
重たい雲の隙間から
差し込んでくる幾すじもの光りに
この小さな公園は 
明るんでゆく

少し揺れている木のブランコの
輝く雨粒をすべらす
すべり台
今は顔を出した太陽の下で
その身を干そうとしている 

雫が落ちてくる髪の毛を
乾かそうとして立っている
僕の耳には
いままでひっそりと
頭をたれて濡れそぼっていた
木々や芝生や小鳥達の
洗い流されて新鮮になった
はなやぐ生命の息吹が
遠くからも
近くからも
聞こえてくるようになる