風のささやき

戻る日や遠のく車窓に黙る子ら別れゆっくり沁み込ませている

秋田からかえる日
動き出した電車の中で
小学生の上の二人は
車窓に流れゆく田園風景を眺めながら
しばし黙り込んでいました

まるで夏の終わり
田舎を去る寂しさを
心に沁み込ませているように

少し大人になる瞬間に
立ち会っているような気がして
僕は二人の様子を何も言わずに
眺めていました