風のささやき

仰向けの蝉の体の静けさや彼の地の澄んだ声の漂う

アブラゼミが仰向けになって死んでいました

子供と一緒にそれを見つけて
子供は恐る恐るその亡骸を手に
観察をしていました

夏の間はあれほど
けたたましく鳴いていた蝉も
こうして地に翅をつけると
声を失くして静かです

その分彼岸の地に引き継がれた
澄んだ鳴き声が
その体からは響いてくるようで

僕はしばらく蝉の亡骸に
耳を傾けていました