風のささやき

立ち昇る蚊遣りの煙千々乱れ紫紺の闇に浮かぶ唇

あの耳につく蚊の羽音を確かに聞いて
蚊取り線香を炊きました

夏の夜の深まり行く紫紺の闇の中に
ゆらゆらと立ち上ってゆく煙は
規則性もなく乱れ広がっていき
どこか幻想的で艶かしい雰囲気を醸し出します

それは誰のものだったのでしょうか
僕は何故かその闇の中に
艶やかな唇を思い浮かべていました