風のささやき

雪のショール肩から落とす杉もいる春滴りて野山潤す

まだ雪の残る野山の間を
車で走っていました

車窓から眺めていると
ところどころで杉の木が
肩に降り積もった雪を
落としていました

まるで邪魔になった白いショールを
脱ぎ捨てるような仕草で

きっと僕が感じ取れないだけで
春が静かに野山に満ち始めているのでしょう

その明るさに野山が潤い
待ちきれないでいる者たちが
胎動を始めたのだと感じられました