風のささやき

地下鉄に閉じ込められしかなぶんの救い請いたる緑の背中

地下鉄に乗っていたら
隣に立っていた人が
僕の肩を眺めながら
何故かニヤニヤとしていました

なんだろうと思ったら
緑色のかなぶんが一匹
僕の肩につかまっていました

普段は見かけることもないのに
こんなところでと珍しく思いながら
そのかなぶんを捕まえると
こぶしの中に隠しました

地下鉄に閉じ込められていたら
すぐに死んでしまうだろうからと
地上に出てから離してやろうと考えたのです

手の中で動くかなぶんは
早く外に出たいようすでもぞもぞ蠢き
僕はちょっと我慢しろよと
指先でサインを送っていました