風のささやき

障子透く裸電球ほの赤くゆかしき童話聞く心地ぞす

古びた温泉宿に泊まっていました

夕方何度か温泉に入ったせいか
夜早い時間に眠くなり
いつの間にか眠りこんでいました

そのせいでしょうか
夜中に目が覚めました

明るいなと思ったら
消されぬままの裸電球が
ほの赤く障子を照らし

それが何故かとても懐かしい物に思えて
僕は体の向きを変え障子の方を眺めていました

まるで聞き覚えのある童話に
耳を傾けているような気分のまま
気が付くとまた眠りに誘われていました