風のささやき

焦るなと晩夏の風に諌められ汗拭く指からしんと鎮まる

あれもやらなければ
これもやらなければと
頭の中で忙しく考えているせいか
気持ちが急いていました

少しイライラとしながら
人ごみを抜けて歩いていたのですが

気がつくと地面には
銀杏の葉の影が
僕に手を振る様に揺れています

急いでいた歩調を少し緩めると
少し秋めいた風が吹いて
急がば回れだと僕を諌めてくれました

肩の力が抜け息を吸い込み
額の汗を指で拭うと
その指先からシンと
胸の内が鎮まるように思えました