風のささやき

梢の間ほっと瞬く星ひとつ空にも春が届いたらしい

帰りがけ
まだ裸のままの梢の間から
星が一つ見えました

その星は
寒さの緩んだ夜空を
楽しんでいたのでしょうか
緊張感もないままに瞬き
まるで僕が見ていることさえ気づかない様子

ようやく
大地を駆けていた春の温もりが空にも届き
それで気が抜けてしまったのかなと
そんな贔屓めな思いで
しばらくその星を眺めていました