風のささやき

寒風に赤らむ林檎の頬の子の手包むこの手は老いに熱なく

冷たい外で
ずっと遊び続けていたからでしょう
真っ赤な林檎のような頬になった
知り合いの小さな子供が
僕の方に歩いて来ました

寒そうだなと思い
その子の手をとると
予想通りとても冷たい

けれどしばらくすると
僕の手よりも子供の手の方が
温かくなりました

いつの間にか年を重ねて
子供にあげられる
手の熱さも失いつつあるようです

これは駄目だと苦笑いしながら
背中を向けて走り出した
子供とは反対の暖かい部屋の方へ
また足を向けました