風のささやき

鬼灯は舌に破れてほろ苦く夢の終わりの味に似ている

小さな頃に
帰省したときのこと

庭に生えていた鬼灯の実を
祖母が取ってきてくれました

鬼灯の中にぎっしりとつまった種を
丁寧に取り出して
皮だけになった鬼灯を
口で鳴らすのだといいます

丸くて硬い鬼灯の実を
手でゆっくりと揉んでから
爪楊枝で中の種を掻き出すのですが
根気の無い僕にはとても無理な作業

うまくいった試しはなかったのですが
半分破れた鬼灯を口に入れると
どこかほろ苦い味がして

うまくいかないことのほろ苦さを
子供心に味わっていた気がします