風のささやき

短冊のかなわぬ願い眠らせた夢闇に沈ませ七夕の夜

電車の中で笹の枝を持っている人を見かけました
何だろうと思ってよく考えてみたら
次の日は七夕でした

短冊に願いを込めて星に届ける。
そんな美しい風習を自分が忘れてから
どれぐらいがたつことでしょう
僕が短冊に書いた願いは何一つかなわずに終わりました
(例えば「プロ野球の選手になりたい」とか)

一体誰のどんな願いがかなえられたのか
それは星のみぞが知るばかりです
いくつも願いが塗り込められた空はただ黙して
かなわなかった夢をその懐に抱き
静かに肯っているかのようでした