風のささやき

夏かぜや忘れた物が鳴りにけり

窓を開けていたら
夏の風が吹いて来ました

どこか懐かしい物を感じさせる風
若かりし時分にこんな風に
きっと吹かれていたのでしょう

その時に僕の中で
忘れたと思っていた物が蘇り
寂しげに胸の奥に鳴りました

その音はいつの間にか
忘れてしまった物への
そうしてわすれてしまったことさえも
忘れてしまっている僕の悔恨
心臓の高鳴りなのでしょう

しばらく僕は
その風が吹いて来た方へ
顔を向けていました