風のささやき

耳掛の少女一輪ドア際に

朝の電車に乗っていました
いつものように混雑をして
本を読むこともできずに
音楽を聞いていました

僕の目の前には
白い耳当てをした
一人の若い女の人が
ドアにもたれかかって
外を眺めていました

そのドアの窓からは
朝日が差し込んで
その女の人を包んでいます

その姿がまるで
今朝咲いたばかりの
一輪の花のようにも見え

少しの間
混雑の不愉快さを忘れていました