風のささやき

くすぐれば今にも開く木の芽かな

まだ裸のままの木立が並ぶ通りでした
木々の合間に見る空は穏やかな青で
のんびりとした雲を浮かべています

風も随分と暖かく感じられて
着込みすぎている自分が
間抜けに思えていました

枝の先には膨らんだ木の芽
いっせいに空に
伸びてゆこうとする勢いが閉じ込められて
むずがゆそうに見えます
くすぐればすぐにでも開きそうです

けれどその役割は
木々を渡る風に任せて
僕はまた通りを歩き始めました

 #2006 春に