風のささやき

つり革の手は老いてあり夏の月

いつものように電車に乗って
家路へと向っていました

夜ももう遅い時間
その日も色々と忙しく
ぐったりとして
電車のつり革につかまっていたのですが

何気なくつり革を握る自分の手を眺めると
皺深く節々が骨ばり
とても年老いて見えました

我ながらその手にギョッとして
窓の外を眺めると夏の明るい月

僕の胸の内の戸惑いには
まるでそ知らぬ顔でした