風のささやき

昼空に泳ぎ果ててや鯉のぼり

太陽が空に沈みかけるころ
いつもの道を
一人歩いていました

見上げるとマンションのベランダには
風がないせいでしょうか
垂れ下がるだけの鯉のぼり
よく見なければ単なる布切れにさえ見えます

きっと昼の間は
青空のもとで
悠々と泳ぎまわっていたのでしょう
その勢いもいつまでも続かず
疲れ果てた末の姿といったところでしょうか

もうすぐ夜が訪れて
その姿を闇に隠してくれることでしょう
明日の朝までは静かに休んでいろよと
そう声をかけていました