風のささやき

満月を撫でる愉快や若柳

夜一人で道を歩いていると
柔らかい若葉を一杯につけた柳の枝が
空に浮かぶ丸い月の面を
何度も何度も飽きることなく
撫ぜるような仕草を繰り返していました

それは柳の若葉が春から与えられた
月を輝かせるための楽しい仕事のようで
僕もしばらくその愉快な仕草を
暖かな春の雰囲気につつまれながら
眺めていました