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作品名ミッドマイヤーの遺産(Midmayr’s bequest)
著者名: 藤下真潮

内容: フレイヤ・フォールに依るWGAIO南極研究所の消失直前、二つの細胞サンプルが研究所から持ち出された。ひとつはミッドマイヤーの手へ、もうひとつはアメリカ国家安全保障局《NSA》の手へ。やがて二つの物語が動き始める。

 

前書: 書かないはずだった第4部を書こうと思ったのは、ある人から続きを読みたいと言われたからだ。そのとき”テクノロジー”、”戦争”、”命”と書いていたので、次は”宗教”を書きたいと思った。宗教に関しては、ずいぶんと昔から色々と思うところがあったのだが、長いこと思っていただけで何一つ理解がすすむ訳ではなかった。何せ根ががちがちの還元主義的理系なので、かつての宗教の役割も世界観と社会的規範の構築が主軸であったろう的な理解しかしていない。そのくせ実のところ世界観であっても社会的規範であっても、近代科学と宗教にさほど違いはないと思っているという偏向もある。要は、世界の構造が四次元的に閉鎖された三次元空間であってビッグバンにより形成されたとしても、世界が蛇と亀の上に乗っかった円盤でその果てでは海が瀧のように流れていたとしても、明日のご飯を食べるにはどちらでも困らないのだ。しかしやはり近代科学と宗教が同じというのは極論だとも思う。宗教から世界の構造と社会規範を引き算して残るもの考える。それは”祈り”のようなものではないかと思う。科学にも”祈り”に似たようなものがあるような気がするけれど、やはり何となく大きく違うような気がする。今回は出来れば宗教におけるその”祈り”のような部分が書けたらいいなと考えています。

 というわけで今回のお話は、遠い遠い未来の世界で少女が神になるお話です。ただそれだけのお話です。

 

本文: 『ミッドマイヤーの遺産』