風の約束 〜花片の行方〜  2幕


「落ちたよ」
「え? あ・・・・・・、ありがとう」

「あの・・・・・・、以前にどこかでお会いしました?」
「え・・・・・・? あ・・・・・・、いや、はじめてじゃないかな。たぶん」

 なんだ、じゃあ、やっぱり思い過ごしか・・・・・・。
 コトノハは少年の答えに、安堵と、一抹の寂しさをおぼえた。

 コトノハが小さく会釈して、少年の脇を通り過ぎようとしたとき、ごうっと季節のいたずらのような強い風が吹き抜けて、ふたりのまわりで無数の花びらを舞わせた。


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