養生法 Ⅳ または夢 ヒポクラテス著
Regimen Ⅳ or Dreams Hippocrates


英文訳者:W.H.S. Jones (1876~1963)
「HIPPOCRATES」 VOL. IV 1931
Loeb Classical Library
邦訳:前田滋 (カイロプラクター:大阪・梅田)
(https://www.asahi-net.or.jp/~xf6s-med/jh-regimen-4.html )

掲載日 2014.11.02

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邦訳者(前田滋)の序

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追記:
英訳文は(そしてギリシャ語の原文も)、コンマ(、)やセミコロン(;)で延々と文章が続いていて、段落が全くない。しかしディスプレイ上で読む際には、画面に適度な空白がないと極めて読みづらいので、英文のピリオドを目安にして、訳者の独断で適宜改行をつけ加えたことをお断りしておく。


86.
睡眠中に現われる徴候を正しく理解した人は、それがすべての事柄に重要な影響を及ぼすことに気づくだろう。というのも、身体が目覚めている時には魂が身体の僕(しもべ)となっていて、決してそれ自身の支配者ではなく、その注意力は多くの事柄に分散され、聴くこと、見ること、触れること、歩くこと、全身の活動など、身体の各機能に割り振られる。そして心は決して自立しているわけではない。

身体が休息している時には魂は活動状態にあって覚醒しており、それ自身の居場所を支配し、全ての身体活動をそれ自身で実行する。睡眠中は身体には知覚がなく、覚醒時には魂はあらゆる事柄を認識している。すなわち見えるものを見、聞こえるものを聴き、歩き、触れ、痛みを感じ、あれこれ考えるのである。

要するに、身体と魂のあらゆる機能は、睡眠中には魂によって実行される。したがって、これらの働きを正しく解釈する方法を分かっている者なら誰であれ、知性の大部分を理解していることになる。

87.
さて都市や個人に対して吉凶を予言する神の啓示のごとき夢について、それらを処理する術を身につけ、解説する人たちがいる。

ところが、魂から前もって発せられる身体的な徴候については、ありのままの事物の極度な充足や欠乏であれ、いつもと異なる事物への変化であれ、当たり外れはあるものの、これらについても占い師たちは解釈している。しかし当たるにせよ外れるにせよ、どの場合にも彼らにはその理由が分かっていないのである。

彼らは害を避けるために予防措置をとることを勧めるが、どのように予防するかは教えない。ただ神々に祈りを捧げよと指示するだけである。実際、祈るのもよいが、神々に祈りながらも自らも努力すべきである。

88.
以下のことは真実である。すなわち、その人の日中の行動や考えを、それが通常の行動として日中に計画していた通りに、あるいは実行した通りに自然な行動として、夜に繰り返されるような夢は、その人にとってよいことである。それらの夢は健康であることを表しているが、それは魂が日中の目的を固守していて、過剰や欠乏あるいは外部からのどんな攻撃にも屈服していないからである。

ところが、夢が日中の行動と相反し、それらと葛藤し、あるいは打ち負かす場合には、身体が不調であることが示唆される。そしてひどい葛藤はひどい障碍を、軽い葛藤はそれほどひどくない障碍を表している。

その行動を避けるべきかどうかに関しては、私は判断しかねるが、身体を治療することを勧める。というのも魂の不調は、何らかの過剰が発生し、それによって生じる分泌によって引き起こされるからである。

その隔たり(前田注;夢と現実との隔たりのことと思われる)が極端な場合には、催吐剤を飲むのが有益である。そして5日間は軽い食事を次第に増やしてゆき、早朝には長く激しい散歩をこなし、それを次第に増やす。また運動も行なうが、訓練中は食餌量を徐々に増やしてゆくのに合わせるようにする。

その隔たりが緩やかである時には、吐瀉は行なわず、食物を1/3減らし、5日かけて徐々に、緩やかに増量して元に戻す。しっかり散歩することと発声練習を強制的にさせると、不調は解消するだろう。

(前田注;以下の節で記述されている自然現象は、すべて夢の中の出来事である。底本にはこのことが明記されていないので誤解なきよう)

89.
太陽と月、空と星が明るく鮮明に見え、それぞれが相当に見えるのはよいことである。これは、すべての兆候の中に身体の健康を示唆しているからである。ただしその時々の養生法を遵守して、この状態を維持せねばならない。

夢と現実に隔たりがあるのは身体に病気があることを示している。大きな隔たりは大きな病気を、小さな隔たりは小さな病気を示唆している。

星は外側の球面上にあり、太陽は中間の球面上に、月は空洞の近くの球面上にある。(*)
*Jones注;月は最も低い最初の球面上にあり、太陽は4番目の球面上に、恒星は最外側で8番目の球面上にあると考えられていた。空洞というのは、我々を取り巻いている最も近い球面の窪み(大気圏)のことである。この注はA.E.Housemann教授の教示による。

いかなる天体であれ、その形状が損なわれたり、消失したり、周回運動が止まるように見える時には、それが霧や雲を通して見えるものなら、その悪影響は比較的弱い。それが雨や霰を通して見えるのであれば、その影響は一層強い。どの場合であっても体内で生起する分泌物のような湿気と粘液が外方の周回路に落ち込んでいることを示している。(*)
*Jones注;星の周回球面と人体内の回路または周回面との関係については養生法Ⅰ(第10節)に記されている。

この人は次のことを行なうのが有益である。すなわち着衣のままで長く走り、それを次第に増やしてゆき、できるだけ自在に汗をかかせ、運動後には長く散歩させる。昼食は控える。食物を1/3減らし、5日かけて徐々に元の量に戻す。

不調が一層重篤であるようなら、蒸気浴も利用する。これは、問題が外側の回路にあるために、皮膚から浄化するのに都合がよいからである。

食物は乾性、刺激性、収斂性で混ぜもののないものを用い、運動は身体を最も乾燥させるようなものを行なう。


月が何かこれらの徴候を示すのであれば、急変物を内方へ誘導するために、刺激があって塩辛く、柔らかい食物を摂ったあとで吐瀉させるのが有益である。そして急激な周回走と散歩、発声練習を行ない、昼食を抜く。前記と同じように食物を減らし、それを徐々に増やしてゆく。内方に誘導せねばならない理由は、有害物が身体の空洞部に出現したからである。


太陽がそのような現象を示すなら不調は一層強く、それゆえ解消するのはより難しくなる。急変物を両方向に誘導する必要がある。そのために往復走と周回走、散歩、その他あらゆる運動を行ない、食物を前記と同じように減らして徐々に増やす。吐瀉した後に5日かけて徐々に食物を増やしてゆく。


澄み切った空で天体が歪み、弱々しく、しかも周回軌道の乾性に圧倒されているように見えるなら、それは病気になる危険性を示している。必要なことは、回復するまで食物を減らすことと最も湿性の強い養生を行なうこと、入浴し、休息を増やすこと、眠ることである。

敵対するものが炎のように熱い様相であるなら胆汁が分泌されていることを示している。そしてその力が優勢であるなら病気の徴候である。抑圧されたものが消滅するなら、その病気は致命的な結末に至る恐れがある。

その力が逃避に転じてすばやく飛び去り、星がそれを追跡するように見えるなら、治療しないでいると患者は意識混濁(譫妄)に陥る恐れがある。

これらの例はすべて食餌法を実行する前にヘレボレ(前田注;キンポウゲ科のクリスマスローズ)を用いて浄化するのが有益である。

次善策としては、水っぽい食餌を摂ることである。そして白くて薄く、まろやかなワインを薄めたもの以外は控える。熱いもの、刺激性のもの、乾性のもの、塩気のあるものを避ける。無理のない運動をたっぷり行ない、着衣のままで長く走る。マッサージ、通常のレスリング、砂場でのレスリングは控える。柔らかいベッドで長時間睡眠を取り、無理のない運動をする時を除き、休息する。

夕食後は散歩する。蒸気浴もよい。蒸気浴の後には催吐剤を服用する。30日経過するまでは満腹にならないようにする。満腹になってもよい時がくれば、甘いもの、水っぽいもの、軽いものを食した後で月に3度嘔吐させる。


天体があちこちふらつき回る時には、不安によって魂に障害がある徴候である。このような場合には休息するのがよい。できれば魂を滑稽なことに集中させるべきである。あるいは2~3日は、見ていると大変楽しくなるようなことに目を向けさせるべきである。そうすれば回復するだろう。さもなければ病気になる恐れがある。


天体が、その軌道から外れるように見え、しかも澄み切って輝き、東に移動しているなら、これは健康な徴である。というのも、体内の純粋物質が、西から東への本来の動きに伴って分泌される状態が正しくて好ましいことであるから。実のところ、腹部内の分泌物や肉質へ排出される物質はすべて周回軌道から外れているのである。

ところが、天体が暗く、どんよりして見え、西に向かったり、海に向かったり、陸地に向かったり上昇するように見える時には、疾患があることを示している。上方に動く時には、頭部の異常な体液流出を、海に向かっている時には腸の疾患を、陸地に向かっている時にはほとんどが肉質内での腫瘍形成を示している。

このような場合には食物の1/3を減らし、催吐剤を用いるのが有益である。そして5日かけて徐々に食物を増やし、次の5日で元の食餌に戻す。もう一度嘔吐し、同じように食物量を次第に増やす。


天体があなたの上に留まっているように見える時、それが清澄で湿っているなら健康な徴である。なぜなら天空を満たす精気から人に降臨するものは清澄であり、魂もまたそれが体内に入り込む時に真の特性を見ているのであるから。

しかしその天体が黒くて不潔で不透明であるなら、これは病気の徴で、過剰または欠乏が原因ではなく、外界から何かが侵入したことによるものである。

この場合には周回トラック上を激しく走るのが有益である。これは、身体の消耗をできるだけ少なくしつつ、呼吸をできるだけ速くして異物を排出するためである。このようにして走った後は激しく歩く。食餌は柔らかく軽いものを4日間続ける。

人が清澄な神から清澄なものを受け取るように見える時には健康である。これは身体に入る物質が純粋である徴であるから。

しかしこれと逆のように見える時にはよくない。これは病的な何かが体内に侵入した徴であるから。この場合の治療は前の例と同じように行なうべきである。


激しいどしゃ降りや恐ろしい嵐ではなく、晴天から穏やかな雨が降るように見える時には、これはよい徴候である。というのも、これは適量かつ清澄な息が大気から入っている徴であるから。

これと逆のことが起きるなら、すなわち激しい雨、嵐、暴風雨、水が不潔であるなら、これは外から入ってくる吸気による病気を示している。この場合にも前記と同じ養生を行ない、食餌を極めて厳格に制限せねばならない。


天体に関するこれらの知見をもとに、養生法を変えたり、神に祈ったりして予防措置を講じねばならない。良好な徴候である場合には、太陽神、天神ゼウス、家神ゼウス、家神アテナ、ヘルメス、アポロに祈り、これと逆の徴候の場合には、あらゆる危難を避けるべく、厄払いの神々、大地の神、神人たちに祈らねばならない。

90.
次の夢も健康を予言する徴である。大地にある事物を明確に見たり聞いたりすること。しっかり歩くこと。恐れを抱かずにしっかり速く走ること。大地が平らでよく耕されているのを見ること。木々が繁茂し、果実がたわわに実り、充分に栽培されているのを見ること。河川は自然に流れ、水は清澄で、水位は通常のそれより高くも低くもないのを見ること。また泉や井戸もこれと同様であるのを見ること。

これらすべては夢を見る人が健康であることを示しており、すべての体内循環、食餌、分泌が適切で正常であることを示している。

これらの事項のどれかが逆のように見えるなら、それは体内に何らかの害悪があることを示している。


視覚や聴覚が障害を起こす夢は頭部の疾患を示している。この人は、これまでの養生法に加えて早朝と夕食後の散歩を一層長く行なうべきである。


脚が怪我をする夢は催吐剤を用いて逆誘導するべきで、これまでの養生法に加えてさらにレスリングを多く行なうべきである。


大地が荒廃しているのは肉質が不潔なことを示している。そこで運動後の散歩をいっそう長く行なうべきである。


実のならない木は精子が腐敗している徴候である。またその木が落葉しているなら、障碍の原因は湿気と寒冷にある。実をつけずに葉が茂っている夢は熱と乾燥が障碍の原因である。前者の場合には温めて乾燥させるような養生法を用いる必要があり、後者の場合には冷やして湿らせる養生法が必要である。


河川が異常である時には血液循環を示している。水位が高いのは血液過多を示し、水位が低いのは血液不足を示す。後者に対しては血液を増やし、前者に対しては血液を減らすような養生法を行なうべきである。川の水が汚れているのは腸の障碍を示す。その汚れは周回トラック走や散歩によって除かれる。これは呼吸が速くなることで腸が活発になるからである。


泉や溜池は膀胱の障碍を示す。これは利尿剤によってしっかり浄化するべきである。


海が時化ているのは腹部の病気を示す。これは軽くて穏やかな緩下剤を用いてしっかり浄化するべきである。


大地や家が揺れるのは、夢を見る人が健康である時には病気になることを示し、病気である時には快癒に向かうことを示す。健康な人では養生法を変えるのが有益である。まず催吐剤を飲ませ、それから食物を少しずつ元に戻すようにする。というのも現在の食物によって全身が不調を起こしているであるから。

病気の人では同じ養生法を継続するのが有益である。この場合には身体はすでに現在の状態から変化しているのであるから。


大地が水や海水で洪水に見舞われるのを見ることは病気の徴候であり、体内に多量の湿り気があることを示す。必要なことは催吐剤を服用し、昼食を抜き、運動し、乾性の食餌をとることである。そして食物の量を少量から始めて徐々に増やしてゆくべきである。


大地が黒かったり焼け焦げているのを見るのは良くない。これは重篤な病気あるいは致命的な病気にかかる恐れがある。というのも、これは肉質が乾燥しすぎているのを示しているのであるから。

必要なことは運動を止めることと、乾性かつ刺激性、利尿作用のある食物を控えることである。食餌は大麦水を充分に煮たもの、軽くて少量の食餌、充分に薄めた白ワインを大量に摂る。そして何度も入浴する。

胃が空の時には入浴してはならない。寝床は柔らかくして充分に休息する。冷えと日光を避ける。大地とヘルメス、英雄たちに祈りを捧げる。


夢を見ている人が湖や海、河に飛び込んでいるように思われるなら、それは良くない徴候である。これは湿り気が多すぎることを示しているので。この場合もまた乾性の食餌と運動を増やすことが有益である。しかし熱のある患者にとっては、これらの夢はよい徴候である。というのも湿り気によって熱が抑えられるからである。

91.
正常な人に繋がっている部位が正常で、大き過ぎもせず小さ過ぎもしないように見えるのは健康な徴である。着衣が白くて美麗な靴を履いているのもまた良好な徴である。

ところが手足が大き過ぎたり小さ過ぎたりしているのはよくない。後者の場合に必要なことは養生法によって太らせ、前者の場合には痩せさせることである。

黒いものは凶兆で、いっそう危険な病気を示す。必要なことは身体を柔軟にし、湿らせることである。新規なものは変化の兆しである。

92.
白衣を着ている清潔な死者を見ることはよい徴である。またそれらから何か清潔なものを受け取るのは、身体が健康であることと、身体に入るものが健全であることを示す。というのも、栄養や成長、精子は死者に由来するからで、これらが清潔なままで体内に入るのは健康であることを示しているからである。

逆に死者が裸であったり黒衣を着けていたり、不潔であったり、何か持っていたり、家から何かを持ち出したりするのを見ることは好ましくない。これは病気を示唆していて体内に入るものが有害であることを示しているからである。必要なことは周回トラック上を走ったり散歩することによってそれらを浄化することと、吐瀉した後、柔らかくて軽い食餌を少しずつ増やしてゆくことである。

93.
睡眠中に奇怪な物体が見えて人をおびえさせるのは、慣れてない食物の食べ過ぎや、分泌物、胆汁性下痢、重篤な疾患を示している。必要なことは吐瀉した後に、できるだけ軽い食物で、大量でもなく、刺激性でもなく、乾性でもなく、熱くもないものを5日にわたって徐々に増やしてゆくことである。運動は、夕食後の散歩を除き、最適なものを行なう。この夢を見た人は熱い湯に浸かり、休息を取り、日光と冷えを避けるべきである。

睡眠中にいつもの食物と飲み物を飲食していることを考えている時には何時でも、栄養に対する欲求と精神抑鬱を示している。

肉が極めて強壮であるなら、栄養が極度に過剰であることを示しており、肉が弱性であるなら栄養不足を示している。食べることが良好であるように、夢の中で食べることはよい徴候である。そこで食物の量を減らすのが有益である。ここでは栄養過多が示唆されているからである。

チーズと蜂蜜をつけてパンを食べていることが示すことも前記と同じである。夢の中で清潔な水を飲むことは有害の徴候ではないが、他のものを飲むのは有害である。


ありふれた物品を注視しているのは魂に願望があることを示している。恐怖で逃げるのは乾燥によって血液が流れなくなっていることを示している。この場合に有益なのは身体を冷やして湿らせることである。


争ったり他の人に刺されたり縛られたりするのは循環に逆らう分泌物が体内に生じていることを示している。吐瀉すること、肉質を減らすこと、歩くこと、軽い食物を摂ること、吐瀉の後に4日かけて徐々に食物を増やしてゆくことが有益である。放浪することや困難な山登りもこれと同じことを示している。


川を渡ることや重装歩兵の敵、奇妙な化け物は病気や狂騒状態を示す。軽くて柔らかく、少量の食餌を摂ること、吐瀉すること、5日かけて徐々に食物を増やしてゆくことが有益である。それと共に夕食後以外に適切な運動を充分行なうこと。ただし入浴、休息、寒冷、日光を避ける。

以上の方法を私が述べた通りに用いることによって、人は健康な人生を送るだろう。私が見出した養生法というのは、愚直な人間なら神の加護があってこそようやく発見できるものなのである。

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