ホルムスクの皆さんありがとう
ガソリンスタンドを過ぎた所で、急に車のクラクションが鳴りました。驚いて振り返ると、私たちを送ってくれた船員が家族に送られて乗っていました。私たちは、ほっと胸を撫で下ろしました。船員は親切に、私たちを車に乗せてくれました。私たちは、安心して彼の車に乗り込んだのでした。。これで無事に船まで帰れる。短いながらも、たいへん有意義な約1時間半のホルムスク観光が終わったのでした。船員の車の中には、彼のたいへん美人のお嬢さんも乗っており、彼は私たちに自慢げに紹介してくれたのでした。
いろいろあったホルムスク市内観光でしたが、船員とその友人の親切のおかげで私たちは、たいへん貴重な時間を過ごすことが出来ました。彼らに本当に感謝したいと思います。
サハリンに住むロシア人達は、経済的に大変厳しい状況にありながらも、たくましく生活しています。日本人が事件に巻き込まれることも多いことは、残念ながら事実です。しかし、サハリンに住む人々の多くは、親切で人なつこい、心優しい人達でした。日本とロシアの、特にサハリンと日本の関係はまだ始まったばかりです。お互いがわかり合える日が、一日も早く訪れることを祈りたいと思います。
出国手続き
船に戻ると私たちは、ロシアからの出国手続きのためにまた古いバスに乗り込み、市内にある税関の建物に向かったのでした。私の予想通り出国手続きは、表玄関から建物に入り、裏口から出ることになりました。この国ではまだまだ外国人の扱いは、お客さんとして扱うのではなく、犯罪人と同じように扱うようです。バスを降り、5日前に入った鉄格子で囲まれた出国手続きを行う部屋に連行?されたのでした。
ここで思わず私たちは、間抜けな係官を見ることになりました。今日21日は、日曜日です。業務は休日のため休んでいたのですが、船会社が何とか頼み込んで出国手続きを行ってもらったのでした。この辺り、どのように頼んだのか私たちにはわかりません。依頼すれば休日でも業務を行うのか、あるいはそれなりの対価を支払い、何とか業務に応じてもらったのか。
休日のため建物の各部屋には、鍵がかけられていました。私たちは、係官がガキを持ってくるまで、廊下の薄暗い待合所で30分ほど待たされました。もはやロシアの国民になっていた私たちは、外で係官が拳銃を持って見張っていてもお構いなしに、椅子に座り居眠りをしていました。慣れは、恐いものですね。
そうこうするうちに、やっとカギを係官が持ってきました。しかし、いくらカギを開けようとしても、カギが違っているらしく開きません。係官は、無線で連絡を取り、急いで戻っていきました。10分ほどかかって彼は再び戻ってきてカギを開け、やっと手続きが始まったのでした。
出国手続きも和やかな雰囲気で行われました。というより、私たちがだいぶ慣れたので図々しくなったという方が良いかもしれません。隅にある机に座って冗談を言ったり、年代物の秤で体重を計ったりと、最後のホルムスクを楽しんだのでした。
手続きが終わると案の定私たちは、裏口に通されました。薄汚れた裏口には、先程の今にも止まりそうなバスが待っていました。これでサハリンともお別れです。私たちは、何とも言えない不思議な疲れと共にバスに乗り込みました。バスは、きしみながら市内を走りぬけ、港に向かったのでした。
係官は、カギの違いを無線で確認していました。内線電話が建物の中には、整備されていないようでした。サハリンでは、まだまだインフラの整備が立ち遅れていることを、無線機の利用は意味しているのでしょう。後で知ったことですが、サハリンの一般家庭にまで電話が設置されるようになったのは、ここ数年前からのことだそうです。それも普及率はまだまだ低いようで、どこの家庭にも電話があるというわけにはいかないようです。
船が税関に!
出国手続きも無事終わり、日本に向けてさあ出港です。しかし、いつまで経ってもフレガット号が出港する気配はありません。それどころか、いつまでも税関の職員が船内を見回っています。税関の職員は、なかなか船を降りようとはしません。挙げ句の果てに船員達が呼び出され、税関職員から尋問されているようです。税関職員は、なんと4時間もかけて船を徹底的に調べたのでした。
後で聞いたところ、間宮海峡で潮待ちをしているあいだに行ったマスの密漁で船が調べられたらしいのです。最終的に税関にマスの密漁を発見され、船は、かなりの額の罰金を課せられたようでした。マスやシャケの密漁は、資源保護の観点から厳しく規制されているようです。密漁に対しマス一尾幾ら、イクラ一粒幾らという単位で罰金が課せられた模様です。
こんなことになろうとは予想もせず私たちは、密漁のマスを船の中で食べていました。、イクラは醤油付けにして食べたのでした。このおいしいことといったら!更に私は、このマスを日本に持ち帰り、冷凍便で茨城までも送り届け、自宅でさばいて食べたのでした。バター焼きにして食べたのですが、このように美味しいマスを食べたのは始めてでした。
美しい夕日
夕日に照らされたホルムスクの街
アパート群が夕日に赤く染まる、美しい街ホルムスクです。
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ホルムスク港を出港するまでに日は、西に傾いていきました。今回の行程の最後にみ見る「間宮海峡に沈む夕日」です。何と美しいことでしょうか。この夕日を私は、この先いつ見ることが出来るのでしょうか?そう考えると、沈むのを止めたくなるような、言葉に表せない美しい夕日でした。
間宮海峡に沈む夕日
この旅の最後に見る、間宮海峡に沈む夕日です。
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