バザール(自由市場)
港を出発して程なく、私たちは自由市場にさしかかりました。入国手続きの際、その賑わいぶりを見てぜひ立ち寄りたいと思った場所です。残念なことにバザールは夕方になっていたため、ほとんどの店が店じまいに取りかかっているところでした。陳列台に並んでいた商品も既に売り切れており、お客さんも少なくなっていました。日曜日は一般の店舗が閉店していることもあり、日中はさぞ賑わっていたことでしょう。
終了間際の自由市場
日中のにぎわいを見ることが出来ませんでした。
品物があふれ、大勢の人々が行き交っていたことでしょう。
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自由市場での出店者は、圧倒的に韓国人の人々が多いのだそうです。その中にあって、場所も確保出来ずに商品を天秤棒にかついで売り歩く、中国籍の人々のたくましさが目につくのだそうです。そこにはロシア人の中に混じって、たくましく生きる東洋人の姿があります。
市場が面する表通り
歩道にも店が出ています。
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アイスクリーム
港を出て市街に入っていくと、町のあちらこちらにアイスクリームを売る露店が出ていました。冷蔵庫を道路端に据え付け、アイスクリームを売っているのです。冷蔵庫の電気は、どこから引いているのか、電気代はどのように支払っているのかはっきりとはしません。電気コードをつたってみると、電柱から直接引いているようにも見えました。
アイスクリームは、韓国産のものでした。日本の企業の韓国工場で生産されたアイスクリームが、数多くサハリンに輸入されているようです。アイスクリームが1個幾らで売られているかを確かめる事は、出来ませんでした。私たちを乗せて行ってくれた船員さんが私たちにごちそうしてくれました。揺れるジープの中で食べるアイスクリームは、なかなかおいしいものでした。
高層アパートの立ち並ぶ丘陵部
ホルムスク市は、海岸線からゆるやかな斜面となる平地の少ない町です。港から丘陵部を眺めると、何棟もの6〜7階建てのアパートが立ち並んでいます。ちょうど日本の公団住宅団地のようです。戦前の真岡の面影を残す建物は、残念ながら見る事が出来ませんでした。通りは、異国情緒にあふれ、ロシア人達が日曜の午後をゆったりと過ごしていました。
建物は、遠くから見るときれいに見えましたが、近づいてみると壁などだいぶ傷みが激しいようすです。冬季の厳しい自然環境から、コンクリート製の外壁はしみ込んだ水分が凍り付き、ひび割れてしまっているようです。これを改修しようとしているところは、私たちがみた限りではありませんでした。経済的に余裕がないのか、あるいは国営の建物なので国で工事を行わない限り改修は行われないのか、いずれにしてもけっしてきれいとは言えない概観のアパートがたくさん建っていました。
アパートの裁ち並ぶ丘陵部一帯は急な坂道となっています。この坂道は大変悪く、舗装道路といっても穴があいたり段差が出来てしまっているところがいたる所にありました。道路も建物と同じように、舗装はしたもののそれを補修する余裕がないようでした。
アパートの建設現場
建築中のアパート
足場のない建築現場です。
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また、建設中のアパートも4、5棟ありました。6、7階の高層アパートを建設しているわけですが、周囲に足場は設置されていませんでした。日本では考えられない事です。私たちが訪れた日はちょうど日曜日という事もあって、作業は行われていませんでした。工事関係者の姿も見る事は出来ませんでした。そんなわけで、足場がない事について誰かに訪ねる事も出来ませんでした。たとえ工事関係者がいたとしても、ロシア語が話せなくては、確かな事を聞く事は出来なかったでしょうが…いずれにしても大変危険な労働条件の中で、アパートの建設が行われていることは確かです。