4 現在のサハリン州の状況
サハリン州は今
人口
現在のサハリン州の人口は、北方四島を含め(北方四島は日本の領土ですが、この地域に居住するのロシア人も含めた数字です)約63万人です。10年前は約67万人ほどありましたが、択捉沖地震、樺太北部地震による大きな被害とモスクワからの援助が絶たれたことなどにより減少しました。サハリンを捨てて、モスクワやウラジヲストックなど大陸の町に帰る人々がだいぶいるようです。
物価
サハリン州の物価は、ぺレストロイカの前と後で大きく上昇しました。ペレストロイカ前、サハリン州に住む平均的なロシア人の月収は約250ルーブルでした。この時、ユジノサハリンスクからモスクワまでの航空運賃(片道)は120ルーブルでした。現在の月収は、150万ルーブル、同航空運賃は200万ルーブルとなっています。ペレストロイカ前は、ユジノサハリンスクからモスクワまでの航空運賃(片道)が月収の約半分ほどでしたが、現在は月収の1.3倍以上となってしまいました。
同じようにユジノサハリンスクからの航空運賃は、ウラジヲストックまでが40ルーブルから60万ルーブルへ、ハバロフスクまでが34ルーブルから45万ルーブルへと、大きく値上がりしました。このため、モスクワからサハリン州に移り住んだ人々は、里帰りもままならない状況ということです。
ユジノサハリンスクの市バスの運賃もペレストロイカ前は6コペック(1コペックは1ルーブルの100分の1)でしたが、ペレストロイカ後2,500ルーブルに値上がりしてしまいました。現在の年金は、月額40万ルーブル程度ですから、年金生活をする老人にとって大変苦しい状況にあります。
医者までもが船乗りを希望する
サハリンに住むロシア人の中で船乗りは、高い収入を得ています。為り立ての船乗りでも現在1日約10ドル(米ドル)の収入があるそうです。日本円にして1,000円程です。サハリンの平均的なロシア人の1ヶ月の給与は、日本円にして3万円ほど。船員の方が、生活費がかからない分余裕があるといえるでしょう。こんな状況からサハリンでは、医者でさえ船員を希望しているということです。医者でさえ、国からの給与だけでは暮らしていくことがやっとということでした。希望者の多い船員ですから、簡単になれるものではありません。船会社に知り合いでもいない限り、船員になることは難しいようです。
ペレストロイカの現状
ペレストロイカ(改革)は、ゴルバチョフ大統領によって始められました。しかし、それに対する国民の評価は冷ややかなものがあります。「ゴルバチョフは言葉だけ」とも言われているようです。実際にペレストロイカを推し進めたのは、現大統領エリツィンであったようです。
現在でもなお、各共和国の長は共産党員が多いようです。これがペレストロイカにブレーキをかけているひとつの要因でもあるとのことでした。エリツィン大統領が思うようにペレストロイカを進めるには、まだ障害は大きいようです。
現在、サハリン州がモスクワの決定をを離れて、独自に政策を実施することは、非常に難しいということです。その理由は、資金のほとんどがモスクワからもたらされるからとのことです。モスクワの力は、今なお強大なようです。