2002九州横断旅行

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8月17日


 7:30の朝食。呼び出しの電話で目覚める。朝風呂は見事計画倒れに終わってしまった。食事中、ちょっと頑張って予定より早めの口之津行きのフェリーに乗ることが突然決まり、大急ぎで身支度を整える。8:10、泉屋旅館を発つ。
 「地図上の」距離感覚からすれば余裕で間に合う行程だが、昨日の経験から言えばそんな甘いはずはない。やはり追い越し禁止の区間が長く、ゆったり走る地元車に悩まされる。安全に十分留意しつつ、約30km先の鬼池港を目指す。途中富岡で道を間違えたが、なんとか出港時刻に間に合わせることができた。
 しかし、様子がおかしい。船が接岸しているのに、陸上で待機している乗用車がいる。なんでだろ...と思いつつ、搭乗しようとすると…車両満載で、もう載せられないとのこと。なんてこったい! あんなに頑張って走った努力が水泡に帰した。激しく落胆する。次の便まで待つより、富岡から茂木へのフェリーを利用したほうが長崎滞在時間を稼げると判断し、富岡へと大返し。陸繋島にある富岡港には9:08着。確認すると、まだ搭乗枠は残っている。即座に手続きをしたのは言うまでもない。
 待機位置にバイクを停める。背後には、寺沢氏の支配下にあった富岡城。天草の乱でもついに落ちることはなかったという。
 その海側をみると、フェリーが停泊している。これに乗るのかな...とよく見てみると、熊本県立苓洋高等学校とある。どうやら水産高校の実習船で、フェリーの払い下げかなにからしい。さらに右手を見ると、別の船が接近して接岸しようとしていた。
 9:18、船中の車が上陸開始。引き続いて、我々が搭乗する。バイクがまっ先に乗り込むのはさんふらわぁと同様だが、様子が違う。ハーレーを含め我々バイク部隊は、一番奥の壁際へ、船体と直角に駐輪。一方口ではないので、これが一番スペースを有意義に使う方法なのだろう。
 暑いので、船室に入る。眺めはあまり良くない。ひょっとしたら神代氏は不満だったかもしれないが、厳しい暑さを避けることができるならそれに超したことはない。9:45出港、約1時間の船行きである。
 船中で後輩からちょっとびっくりするメールを受け取る。同時に、案外携帯の電波が強いことを今更ながら感じる。瀬戸内海よりかはいくぶん激しい海を、船は力強く進んでゆく
 やがて前方の陸地がだんだん大きくなってくる。ドリフトを開始した頃、車両甲板への誘導が始まる。降りたって驚く。バイクから10cm程度まで車がビッチリ寄せて止まっていた。接触しないからなんの問題もないが、PからDへ至る間にRのあるゴーカート車で安易にバックされると怖いし、そもそもこの車の人も、誘導あるとはいえ、バックでココまで寄せるのは大変だったろうなぁと思う。前を見てもこんなだ。
 幸い下がられることもなく、10:57に茂木港へ上陸する。
 少し迷いつつも324号線に入る。次第に峠を登る。すれ違うのは長崎バス。この坂を越えれば、いよいよ長崎だ。峠を登り詰めると、渋滞のなか、少しずつ市街地へと降りてゆく。
 まずは、思案橋で左折して福砂屋本店へ行く。神代氏がたくさんお土産を購入していた。このあたり「までは」修学旅行で班別行動に参加していたのを思い出す。
 次の目的地は、昼食をとる四海楼。春雨通りに戻り、中央橋を左折。新地ターミナルの横を抜けて、四海楼を目指す。一方通行に阻まれて少しグルグルしてしまったが、弁天橋のほうからまわってなんとかたどり着いた。駐輪場所に悩むが、崖際ギリギリいっぱい寄せて停める。これで怒られたら謝るだけだ。道を渡って、いよいよ四海楼へ。11:57。
 ちょうどお昼時ということもあって大変な混雑だったが、当然のように待つ。この四海楼がちゃんぽん発祥の地と言われているからだ。
 ここで食べるのは初めて。ようやく出てきたちゃんぽん、大いに満足する。店の数だけあるといわれるちゃんぽんの味、いずれにせよこれがオリジナル(のはず)である。皿うどんも食べてみたかったが、とても無理な分量であった。
 食後、一階の土産物屋に立ち寄る。約束していたちゃんぽんの土産&明太子を購入し、クール便で発送依頼する。ほかに、ポッペンを購入。化政文化「ポッピンを吹く女」で使えるネタである。
 買い物を済ませて外に出ると、我々のバイクの後ろにズラッと他のバイクが並んで停まっていた。みんな駐輪場所を思いあぐねていたのね。ヾ(▽⌒*)
 後の行程を考えると、長崎観光もままならない。路面電車に沿って北上する。長崎駅前を抜け、浦上界隈で寄り道をしながら進む。途中、チトピーのあたりで神代氏がバスに挟まれそうになる。なんとか無事であった。
 そのまま長崎バイパスには入らず、また少し寄り道。他府県の人々がいらん期待を抱きがちな「女の都」(めのと)を経由して、女の都ICから川平道路、さらに長崎バイパスへと進む。片側2車線で、予想以上に走りやすい。長崎多良見ICから長崎自動車道となるが、中途半端に直結していなかった。どうにかならないものかとも思う。
 長崎自動車道を北上する。しばらく走って、大村湾PAでトイレ休憩。正確に言えば、時々気分転換をしないと暑さでやられてしまうのだった。
 東彼杵ICあたりで、大村湾と別れを告げる。きっとまた長崎には来ることであろう。いろんな思いを込めて。
 長いトンネルを2つくぐり抜ける。長大トンネルも案外気にならない。特に夏場は日差しから逃れることができるので、むしろありがたいぐらいである。嬉野ICを越え、西九州自動車道の合流を受け入れると、給水&給油休憩として川登SAに入る。前回給油から137.6km、そろそろ神代氏が警戒を始める距離だ。
 冷たい飲み物を飲んで復活。SA出口のスタンドで神代氏が給油したのち、再び本線に流出する。
 ここからしばらく、熊本行き高速バス「りんどう」号と併走する。かなりアグレッシブな走りで驚かされた。100km/hを保つ我々は、やがて引き離されてゆく。運転手の資質なのか、それとも九州の高速バスの走りなのかは分からないが、安全運行を祈りつつ見送る。
 山間の土地から開けてくると、やがて吉野ヶ里遺跡のあたりを通過する。前方には、バスジャック事件で有名になってしまった佐賀福岡線「わかくす」号が見える。これと似たようなバスで悲劇が起きたんだな...ついつい現実的に想像してしまう。良いことなのかどうかは分からないが、少しでもあの恐怖を分かってあげたい。鳥栖JCTで追いつき、やがて九州自動車道でまた離れていった。我々は阿わやおこ志という久留米の土産物を求めて、基山PAへ入る。暑い中の高速走行は眠気を誘う。ありがたく休憩を兼ねる。
 アイスコーヒーを飲むうち神代氏が探し求めるが、残念ながら売っていなかった。私も確認したが扱っていない。残念。
 本線に戻りしばらく北上すると、水城を通過する。九州自動車道のところだけ破られているものの、約1350年前の遺物をくっきりと認識することができた。修学旅行では見ることが出来なかっただけに満足である。
 ほどなく大宰府ICから一般道へ降りる。博多区内のスタンドで給油。今度は私が限界を感じ始めていたのだ。前回給油から251.0km、燃費は21.86kmである。戦った区間が長かったせいか、あまり良い数値ではない。
 少し迷いながらも、17:15に神代氏の親戚(神代氏の父は久留米出身とのこと)と職場近くで無事合流。一緒に夕食を食べることになっていたので、福岡都市高速から北九州市を目指す。
 夕陽が影を長くしはじめる時間帯。まったりとした都市高速を抜け、やがて福岡ICから九州自動車道へ入る。途中、古賀SAでトイレ休憩。3台梯団なので出入りはできるだけ避けたほうが良いが、生理現象は仕方ない。
 本線にもどりしばらく走ると、渋滞に巻き込まれる。乗用車との梯団ゆえすり抜けはせず、まったりとついてゆく。
 八幡ICで既に食事場所の予約時間に達そうとしている。ヘッドセットを装備していた私が店へ連絡を取り、状況を伝える。
 八幡ICというと誤解されそうだが、実際にはほとんど直方である。ここから門司港まではまだまだ30km近い。再び大急ぎで進む。幸か不幸か、全体に流れが速いので、梯団でもさして辛くはない。ところどころ煽られながらも、無事春日ICで高速を降り、門司港駅前の、レトロな雰囲気が趣ある三井倶楽部というレストランに入る。19:10分着。
 ここで、バナナフライのデミグラスソースを食べる。(使用前使用後)門司港駅といえば、バナナの叩き売りで有名。それにひっかけたものであろうか。ボリュームはやや不満が残るものの、美味しいデミソースであった。
 話が盛り上がっているうち、アッという間に時間が過ぎる。乗船手続きは出港90分前...となると、20:30には手続きをせねばならぬ。しかるに、気付くと20時近くなっていた。大急ぎで新門司港へと向かう。
 門司港駅から新門司港までは、約10km離れている。通行量も多く信号の出入りも激しい道。やがて、このまま梯団を組んでいては間に合わないと思い、神代氏と親戚車を残して単身乗り込んで行く。
 ギリギリセーフで乗船手続きの申告をする...のだが、実際にはもう少し余裕はあったようだ。神代氏の手続きが素早く済むよう用紙を二人分記入していると、神代氏が到着。無事手続きを完了する。
 とまれ、航走車両搭乗まで30分もない。ひとまずバイクを待機位置へ走らせる。しばらくすると車両搭乗。船首を大きく開けたニューはりま丸へと入ってゆく。今回も船首近くの端に駐輪。芋以外の駐輪手配をして客室へと向かう。
 この船も、もちろん雑魚寝である。ただし、乗船手続きでは客室指定もなにもない。乗船後、雑魚室入口で先着順に場所指定を受ける。幸か不幸か雑魚室の壁際の指定となる。
 貴重品以外の荷物を置いて領土権を主張したのち、許可を受けて再上陸。親戚さんとお別れをして、出港間際、ふたたび乗船する。建物の3階と同じ高さが船の搭乗口。なかなか面白い。出港時にタラップが船から離れていく。その様子を眺めるのも楽しい。メカニックなものには何か心を動かされるものである。少しずつ岸壁から離れていく。それにしてもよく搭乗タラップ真横に接岸できたなぁと思い船員さんに訪ねると、岸壁そのものが船の形に合わせてあるので、案外位置合わせは難しくないとのこと。
 いよいよ岸壁が光の点となったころ、上部甲板にあがり、ビールで本日の無事を祝う。本日走行は323.1km。暑い中、よく走ったものである。しばし潮風に吹かれて過ごす。
 再び酔いが覚めたころ、風呂へと向かう。この船の浴室は船体中央にあるので、外の景色を楽しむ風流は味わえない。やや狭かったが、特に困るというほどでもなかった。
 ひとしきり茹だったあと、いよいよ酒盛りを始める。もっとも、甲板は混雑していたので、上階ロビーでビールを楽しんだ。惜しむらくは、神代氏が早々に26時半頃陥落してしまったこと。仕方ないので客室に戻り、寝ることにする。
 駄菓子菓子!隣の客が大幅に領土侵犯をして安眠中。仕方なく壁際の私は横を向いて眠る。しかしここにも罠があった。ものすごい振動なのである。下からドンドンと突き上げられるようなエンジンの振動が響き渡ってくる。こんなんで眠れるか心配だったが、それなりに体は疲れていたらしい。やがて意識を失っていった。Zzz...


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