2002九州横断旅行

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8月16日

 目覚まし一発で目覚める。隣の神代氏を起こすが、二度寝の世界へと旅だってしまう。仕方ないので、一人で甲板に出ると...そこはえも言われぬ美しさ!二度寝なんてさせてる場合ではないので、船室に戻り神代氏を甲板へ拉致する。正直、この世のものとは思えぬ美しい色の移ろいに浸る。越前海岸で見た夕陽以来の感激だった。
 振り向くと、別府の湯煙がはっきりと見える。フェリーがドリフトを開始したころ船室に戻り、荷造りをする。
 誘導放送に従い、車輌甲板に降りる。乗用車たちに続いて上陸。一端路側に寄せて体勢を立て直したのち、いよいよ出発する。
 南国を感じさせるソテツ?の道を走り、日田往還へ向かう途中、標識を見て驚く。「安心院」、安心して読んだらハマる地名だ。初めて知った。
 日豊線の踏切を越え、坂をそのまま登ってゆく。グイグイと登ってゆく感じがとても心地よい。別府ICを越えると山道となっていく。ハーレーの一団に続いて、どんどん山へと進んでゆく。道路に施された凸凹加工がウザい(というより危険だ)が、森の奥へ奥へと進んでいく感じは、なにか不思議な気分を呼び起こす。神々しい空気すら感じた。
 登り尽くすと、その先には草原地帯が広がっていた。右手には由布岳が見える。森林限界にしては低すぎると思いつつ見渡してみると、どうもカルスト地形のようである。
 明らかな羊群石のなかにバイクを停め、教材用の写真撮影をする。途中、福岡行きのバスが追い抜いてゆく。バス好きとしては感慨深い。
 浸食の様子を示す写真も撮ることが出来た。神代氏は大自然のなかのバイクを撮るのに夢中であった。ついでに、バイクの走行写真を撮ったりもした。
 撮影後、湯布院の盆地へと駆け下りていく。給油の都合もあり、ひとまず湯布院の町のなかに入る。10Lほど給油。ここまでの燃費、23.34km/L。ほぼ一般道のうえ登坂のあと。まずまずの数値かと思う。
 県道を辿って水分峠を目指すが、曲がる地点を誤って湯平近くまで行ってしまう。軌道修正すると、あっけないほど近場に曲がり角があったのであった。しかも、県道経由で進む人は少ないらしく、道の真ん中に砂が溜まっていて走りにくいことこの上ない。もっとも、珍しい経路を制覇することができた。往時はここがメインルートだったんだろうなと感慨深い。15分ほど慎重に進めると、現在のメインルートたる国道に一旦合流したのち、「やまなみハイウェイ」北端地点に到達する。
 いよいよ、以前よりずっと走りたかった「やまなみハイウェイ」である。しばらくは、なんということのないサミットラインを進んでゆくが、九重町に入るあたりから、頭上が広がってくる。九州の屋根を走ってゆく…そんな印象である。
 飯田高原へと峠を下りる。天上の楽園である。見渡す限り広がる高原、青く抜けるような空。正面には久住山だろうか、噴煙をあげる雄大な山が見える。来てよかった...心底そう思える素晴らしい道行きであった。
 次第に暑くなりつつあるが、高地のせいでさほど辛くはない。懸命に登る路線バスに続いて、牧ノ戸峠を越える。地名としては以前から知っていたところ。ここから福岡への直行バスが出ているのかと思うと、ちょっとびっくりもするところだった。
 峠を下りて一旦右折、しばし「やまなみハイウェイ」を離れて、黒川温泉へと向かう。聞いたことのない地名だったが、九州では極く著名な温泉らしい。
 神代氏の先導で温泉場を探し当て、共同駐車場に駐輪。9:50着
 階段を下りて、新明館へと向かう。数ある外湯からココを選んだ理由は、洞窟風呂が面白そうだったということもあるが、それ以外の理由は...モゴモゴ。
 モゴモゴな件に関しては期待はずれではあったが、温泉そのものは実に素晴らしかった。洞窟風呂も楽しかったが、岩戸風呂という露天風呂は自然の中にある温泉という風情もあり、心地よいひと時を過ごすことができた。
 風呂上がり、朝食をとる店を探す。そう、道中に気を取られているうち、朝食食べるのを忘れていたのである。
 駐車場への道を進むも、グッと惹かれるところがない。結局、駐車場の向かいにある吉祥という店で豆腐定食を食べる。
 朝食にしては値が張ったものの、値段にみあう味であった。透明感すら感じる、とても美味しい豆腐。また食べに行きたい。
 駐車場で愛知県の別のライダーと親交を深めたのち、11:09再始動。遅めの時間帯とはいえ、熊本で昼食という計画になっていたので、やや焦り始めたのも事実ではあった。
 「やまなみハイウェイ」に戻る。交差点のドライヴインは、修学旅行で途中休憩したところであった。
 阿蘇の外輪山を登り詰めると、眼下には田園地帯が広がる。無謀な四輪車に飛び出されて往生しつつ、ウネウネと曲がりながら、カルデラの中へと降りていった。
 神代氏のバイクは排気量が大きくて燃費が私の物より劣るうえ、燃料タンクが小さいので、このあたりで念のため給油することとする。湯布院給油から128.2km。
 当初の予想では、阿蘇には11時くらいに悠々到着しているはずであった。正直、九州の大きさをナメていた。九州はデカい...
 神代氏のみ給油して出発。宮地駅前で右折して、国道57号線に出る。通行量が多いうえ、均衡速度が低い。急ぐ中、案外ストレスを感じる行程となりそうである。途中のコンビニにて、熊本でお会いすることになっているHNくま氏へ現在位置をお知らせする。熊本から阿蘇まで通勤されていることもあり、くま氏が予想した熊本到達予定時刻は結果的にかなり正確であった。
 赤水駅付近のオーバークロスで、蒸機列車がちょうど下をくぐった。独特の香りが芳ばしい。それにしても、すごい偶然である。
 途中、立野にある豊肥本線のスイッチバックに立ち寄る。そういえば、修学旅行でもガイドさんが案内されていたのを思い出す。
 三段式スイッチバックで、かなりの高低差を稼ぐ。神代氏は探検したかったようだが、行程的にもキビシイ状況下、雰囲気を楽しむに留めた。
 57号線に戻り、西へ西へ。宮崎行きの高速?バスとすれ違う。高速道路を走らない、都市間バスというのが正確な位置づけであろう。名古屋圏ではあまりみられないパターンだけに、新鮮な印象を受ける。
 くま氏への最終採時場所となっていた道の駅大津(おおづ)に13:06着。電話とトイレ休憩のみにて、急いで熊本市内を目指す。
 待ち合わせ場所は熊本駅であった。大津から熊本間は、概ね神代氏先導で進む。いささかご機嫌斜めか、1300ccの能力でスッとばすものだから、400ccの私はついてゆくのが大変。しかし、そのぶん早く熊本駅に着くことが出来た。結果オーライである。
 HNくま氏とは、ココで初対面。人の良い(良さそうな、に非ず)、やさしい(やさしそう、に非ず)方だというのは一目で分かった。今回も、到着時刻がはっきりしない我々を快く迎えて下さり、熊本の郷土料理を紹介していただく。50cc、400cc、1300ccという梯団走行で、駅からほど近い大甲園というお店へ向かう。
 ここで食べたのは、太平燕(タイピーエン)という料理。料理を期待しながら、くま氏と親交を深める。ここで、翌日の目的地のひとつだった琲珈里が閉店したという情報を得る。(^^;;
 しばらくして、太平燕がテーブルに並ぶ。(使用前使用後)はじめて食べるこの料理、予想外の食感であり、なおかつ美味。ご当地では給食にも登場するらしい。熊本ラーメンも良いが、こういう隠れた郷土料理を食べることが出来るのも地元の方がサポートして下さったお陰。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。またお会いしましょう!>くま氏
 もっとゆっくりお話したかったが、あとの行程のこともあり、14:50に大甲園を発つ。
 57号線を南下してしばらく走ると、右目が痒くなってきた。暑いこともあって、バイザーを開けぎみでの走行、埃などが入ってしまったらしい。宇土のジャスコに立ち寄り、薬局で目薬を購入。ついでに、本日の宿へ予約確認の電話を入れておく。牛深経由になるので19時頃到着予定と伝達。
 さらに南下し、266号線から三角を目指す。追い越し禁止区間が延々続く。流れはかなり遅い。わずか20kmほどの行程だが、非常に長く感じた。暑さで体力が弱っていたことも否めない。ついにギブアップし、パールライン入口・天門橋脇の喫茶店で小休止することとなった。寒がりの神代氏が冬場しんどいのと同様、暑がりの私は夏場大変なのである。
 アイスコーヒーを飲みリフレッシュして、再出発。時に16:40。熊本からの移動距離に対する経過時間を考えると、牛深は無理かもしれんなぁと思う。
 パールラインも、修学旅行で来られなかった道行きである。リベンジはなんとか果たすことが出来た。橋を渡って島から島へ。なんということのないことでもあるが、素朴にはそれが不思議で、それが楽しい。
 松島橋を渡り、進路は東海岸をとる。しかし、地図で見る以上に出入りの激しい道。そうなると、先行する四輪車の速度は下がるし、のみならず予想以上の所要距離のとなる。九州は、ほんとデカい...
 龍ヶ岳町に入ったあたりで、「神代」という集落がある。ここに立ち寄るのが東海岸をとったひとつの理由である。さらに進むと、神代氏が勤める会社の取引先の工場がある。この訪問も東海岸経由の理由。探し当てるのに案外苦労したが、無事記念撮影まで済ませる。道行く車たちには、かなり怪しい連中だと映ったことであろう。
 この時点で、18:12。今回の旅行における野望のひとつに、水平線に沈む夕陽を眺めることがあった。牛深が夢のまた夢であるばかりではなく、今度は下田温泉へ予定時刻までに到達できるかどうかが課題となる。なにしろまだ龍ヶ岳、下田温泉までは「地図上で」30km近くあるのだ。宿には遅延予告の電話を入れておく。
 神代氏の先行で、西へと大急ぎ。途中、栖本で給油。9.94Lだからタンク半分だが、神代氏にとって前回給油から170kmはドキドキものだったことであろう。湯布院からの燃費は、25.89km/L。
 瀬戸大橋を渡り、本渡市内へと入る。天草下島有料道路から山越えして直接下田温泉を目指す。有料道路がタダになっていたのは嬉しかった。
 下田温泉の西海岸にたどり着いたは19:15。夕陽は...残照がようやく見える程度だった。突堤に出て南を見ると、もう青の世界。九州の大きさを完全に読み間違えていた我々の負けである。これはもはや格言にしたほうが良いであろう。「九州は、とにかく大きい」
 予定より大幅に遅れて、本日の宿・泉屋旅館に到着。完全な駐輪手配ののち宿に入る。「遅くなってすみません」「牛深のほうを廻ってみえたんですか?」無理でした(笑)。
 遅かったこともあり、すぐに夕食を用意していただく。これまた楽しみにしていた夕食である。こんなふうに書き綴ると、なんだか食道楽の旅行にも思えるが、その感想は間違っていない(笑)。
 魚介類を中心に、新鮮な食材で美味しかった。暑かった一日のあと、ホッと一息ついてのビールもこれまた美味しい。ビールが美味しくて、また料理に箸が向かう。これがまた美味しい。以下、無限ループにより省略。
 一日を振り返り、明日の行程などを話し合っているうち、やがて酔いも覚めお腹も落ち着いてきたので、風呂へ向かう。なにしろ温泉地だ、楽しまなければ。
 時刻が遅いこともあって、ほぼ貸切状態。唯一惜しむらくは、露天風呂の大きさが今まで行った温泉の中で一番小さくて、外にあるというだけで空が仰げないことであろう。ちと残念。
 入浴後、ビールを飲みつつ、深い話をしたりする。私的にはかなり核心をつく話をしたつもりであった。日が変わるころには神代氏が寝てしまう。仕方ないので、私も寝ることにする。明日はいよいよ長崎だ。


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