side−B −約束1− 豪 高校3年7月後半〜


 和紀が夏の強い光を浴びて目を細め、思いきり伸びをしながら台所に降りて行くと、朝食の用意をしている恵から声を掛けられた。
「おはよう。悪いけど他の皆を起こしてくれないかしら。あと5分で準備ができるからって」
「お母さん、おはよう。んー、分かった。今日もなんだね。行ってくるよ」
 背を向けたまま手を動かす恵に言われて、和紀は2階を見上げるとかすかに色が変わった目を大きく開けた。
 和紀はこの暑いのに皆もよくやるなぁと感心しながら2階に戻り、豪の部屋のドアを開ける。
「おはよう。皆、お母さんが後5分でご飯ができるから起きなさいって」
 開けられたドアぎりぎりまで床に2枚の布団が敷かれ、中央に居る豪の左側には智、右側には生、生と豪を囲むように器用に身体を曲げて愛が眠っていた。
 仕事の無い週末の晩は、豪の部屋に申し合わせたかのように和紀以外は集まって一緒に寝ている。
 1番寝起きの良い豪が薄目を開けて和紀を見上げる。
「おはよう。もうそんな時間か?」
「うん。お母さんが怒る前に起きた方が良いよ」
 豪が起き上がると引っ付いて眠っていた生と智、それに皆の覚醒の気配を感じて愛も身体を起こす。
「これ、生の布団だよね? 僕が運んでおくから早く顔を洗って着替えたら。皆も枕を持って解散して」
「まだ眠いけど朝メシ抜きはきついもんな。和紀兄ちゃん、サンキュー」
「ちょっと腰が痛いな」
「さすがに4人は狭い」
 口々に好き勝手な事を言って皆が部屋を出て行き、和紀は生の布団を隣の部屋にテレポートさせる。
 豪はベッドに自分の布団を戻してあくびをしながら着替えていた。
「和紀も1度くらい参加したらどうだ? 寝付くまで皆と色々話せて結構面白いぞ」
「遠慮しておくよ。ベッドを僕1人に使わせてくれるのなら話は別だけど」
「それじゃつまらないだろう」
「あれ以来、全く身動きできない状態で寝るのは極力避ける事にしてるんだよね」
「……悪かったな」
 拗ねた顔を見せる豪に、べっと舌を出して和紀は部屋を出て行った。

 「豪の困った癖」が何なのか、生と愛にばれるまでそれほど時間は掛からなかった。
 中間試験の勉強で睡眠不足気味になっていた豪は、リビングで皆とテレビを観ている時に、隣に座っていた和紀の膝を枕にした上に、離されないように服をしっかり握りしめて熟睡してしまった。
 弁解のできない状態に和紀は頭を抱えたが、事前に知っていた智は心底から呆れ、生と愛は豪の安心しきった寝顔を見て大きな溜息を吐くだけに留めた。
 後に生曰く「あの寝顔は反則!」だそうで、和紀を責める言葉は誰からも出なかった。
 豪の部屋が毎週、皆の合宿所になったのはそれ以降である。

 朝食を終え、生と智と愛がコーヒーを飲みながらリビングでくつろいでいると、自室に戻ったはずの和紀が、マグカップを持ったままテレポートしてきた。
「驚かせてごめんね」
 そう言って愛の横に座る。
 和紀の慌てた様子から生がピクリと眉を吊り上げる。
「また兄ちゃんを放ったらかしにして逃げてきたな」
「違うよ。豪が僕の部屋に来そうだったから、その前に脱出してきたんだよ」
「それって同じ事じゃない?」
 愛の指摘に和紀が「全然違うよ」と首をぶんぶん横に振る。
「大体、皆が豪を構い過ぎるからいけないんだよ。誰だって1人になりたい時が有るんだからね。休みの度に豪の部屋に泊まるのは止めてあげなよ」
「さすが、自分が行かなくても向こうから来る奴は言う事が違う」
 智が目を据わらせて和紀を睨む。
「僕の部屋は豪の避難所にされているだけだよ」
「兄ちゃんが本当に1人になりたいのなら、何で和紀兄ちゃんの部屋に行くんだよ?」
 皆からそっと視線を逸らす和紀に向かって、生が不満一杯と頬を膨らませる。
「自分の部屋だといつ誰が入ってくるか判らないからだよ。僕の部屋はプレート出しておくと誰も入ってこないよね」
 皆も知ってる事だと和紀は平静を装いつつコーヒーを口に含む。
「和紀が側に居るのに不思議だね」
 愛の嫌みについに和紀が両手を上げて降参というポーズを取った。
「僕は豪にとって家具と同じなんだよ。安眠枕扱いだから居ても居なくても一緒」
「その安眠枕を豪は探してるみたいだけど。……あ、諦めて寝ちゃったみたいだ」
 愛がにっこり笑って2階を指差す。
 慌てた和紀が顔を上げて自分のベッドに寝ている豪を確認すると眉間に皺を寄せた。
「豪が寝不足なのは皆が重しになって熟睡できないからだよ。いい加減にしなよ」
「俺達と一緒に寝るのを兄ちゃんは全然気にして無いよ。どっちかって言うといつものごとく和紀兄ちゃんの部屋に行って気が抜けたって感じだろ。またここ最近寝不足気味みたいだから」
 暗に生が和紀にプレッシャーを掛ける。
「よい子の悩み相談室員。さっさと上に戻って話を聞いてやれ。ああいう状態の豪を1人にするな」
 智にも言い切られて和紀はがっくりと肩を落とすと、諦めてカップを持ってソファーから立ち上がる。
「聞くだけだよ。何を言ったかは絶対皆にも話さないからね」
「それで良いから行ってきて」
 愛が往生際の悪い和紀の背中を軽く押した。

 和紀が合宿に参加しない理由は、部屋が狭いという事以外にもう1つ有った。それが今のこの状況である。
 ゴールデンウィークの事故以来、皆が何かと理由を付けて構うので、さすがに豪も根を上げて和紀の部屋に度々逃げ込むようになった。
 「鍵を掛けたら」という和紀の提案は「皆にまた心配を掛けたくない」と豪本人から却下された。
 豪自身も皆に悪い事をしたという自覚が有るので、いつでも部屋を開放している。
 それでもどうしても1人になって考え事をしたい時に、便利なプレートが有る和紀の部屋に来るのだ。
 ぼそぼそと無意識に小声で独り言を言う豪にうっかり返事をしてしまって以来、口の堅さを信用されて以前にも増して色々と相談されるようになっていた。
 豪が和紀の部屋に逃げ込むのを皆が黙認しているのは、1度失いかけた豪を2度と失いたくないという強い思いが有るからで、1人で悩ませて暴走されるくらいなら、信用できる相手なら誰でも良いから、側に居て豪の相談役になって欲しいと思っているからだ。
 それほどあの事故は皆の心にも深い傷を残した。
 和紀が今でも豪の保護者を続けているのは、あの事故の時に豪が心身共に立ち直るまでの過程をずっと側で見守り続けた事と、皆の気持ちが痛いほど解るからだった。

 豪が持って来たマグカップをベッドサイドから避けて和紀はそこに腰掛けた。
「豪、起きて。寝るのなら自分の部屋で寝て。移動が面倒ならテレポートさせるから」
「……ん。ああ、また寝てしまったのか。すまない」
 起き上がり差し出されたマグカップを受け取ると、豪はベッドに腰掛けて頭を下げる。
「どうかしたの?」
「どうかしたとかそういう話じゃ無いんだ。その……上手く言えないんだが」
 豪の声がどんどん小さくなって聞こえなくなるので、和紀が豪の横に移動する。
「時間が無いんだ。でもどうしたら良いのか俺には判らないんだ」
「この前も同じような事を言ってたね」
「解決してないんだ。俺1人の問題じゃ無いから」
「うん?」
「多分あいつも困ってると思う。でも、期限まで後少ししか無いんだ。今まではできるだけ考えないようにしていたんだが、そろそろ本気で決めないといけないと思う」
「そう?」
「解決方法が見つからないんだ」
「そんなに嫌な事?」
「そういう事じゃ無くて、このままだと最終的にあいつが困る立場になるのは嫌だと言うか。結局、俺も困るから……。やっぱり嫌な事なのかな」
「ふうん」
 和紀はねばり強く口の堅くなった豪から言葉を引き出していく。そうしないと、本当は1人で問題を解決したいと思っている豪が警戒して、和紀にも何も話さなくなるからだ。
 少なく断片的な言葉の羅列から和紀は思考を組み立てていく。

豪が特に落ち着きが無くなったのは7月に入ってからだよね。
寝不足になったのは期末試験以降。
もうすぐ夏休みで「期限」まで「時間が無い」と。
「あいつ」っていうのは多分千寿子さんの事で、だとすれば解決していない問題とは仮婚約の事。
会長から言われた期限が迫ってきて、漸く自分の置かれている立場に気付いて焦りだしたという辺りかな。
仮婚約は親族達を黙らせて仕事をする為の方便だから、豪が18歳になると嘘がばれて千寿子さんが「困る立場」になる。
豪が千寿子さんの事を本当に何とも想っていないなら、これほど長い間悩まないよね。
好意はそれなりに持っているけど特別に付き合っている訳でも無く、更に結婚ともなるとお互いの気持ちはもちろん、未来や周囲の状況も大切だから本気で悩んでいると。
こうなる事が見えていたから、ちーちゃんには初めから豪に正直に告白してって言ったのに、あの意地っ張りさんは未だに自分の気持ちを隠しているんだよね。
この豪が自分の気持ちに気付いているのかすら怪しいし、ちーちゃんは自分に自信を持てないから自分から言う気は無いときてる。
本人が全く自覚もしていない事を僕がいきなり指摘したり、間を取り持つのは変だし、正直頭が痛いよ。

 和紀が考えをまとめている間、豪は一言も話さなかった。
 不意に肩に重みを感じて和紀が視線を動かすと、豪が空になったカップを持ったまま眠ってしまっていた。
 ゆっくりと肩から胸を通り自分の膝の上に落ち着いて熟睡する豪に向かって和紀は思わず大声を上げた。
「豪。寝るなら自分の部屋で寝てって言ったよね!」
 和紀は豪を本人の部屋にテレポートさせようとしたが、しっかり自分の服の端を掴んでいる手に気付いて、仕方なく豪が目を覚ますまで優しく髪をなで続けた。

 夏休みに入った初日、ミーティングルームでは休み中の主な活動について話し合われていた。
 皆に手渡された予定表は、智の予知から正規達が時間を掛けて念入りに作り込んだ物で、不安定要素が少なく、会議中の皆の意識は別方向に向かっていた。
 豪の様子があまりにおかしいので、昨夜は皆で示し合わせて襲撃を掛けるとすでに豪の姿は無く、和紀の部屋に居る事だけは愛がテレパシーを駆使して判った。
 智の予知が外れて生の超能力の及ばない範囲にまたしても豪が居るという事に皆の苛立ちが募る。
 千寿子も視えない事に不安を募らせており、表情は硬く重い。
 当の豪は何かを思い詰めた顔をしており、和紀はいかにも寝不足で疲れているという風情だった。
 愛が真っ直ぐに和紀の顔を見て強い意識を送る。

『なぜ徹夜をしてまでずっとテレパシーブロックを掛けてる? 豪が昨夜、君の部屋に泊まった事は判ってるよ』
『皆には話さないって言ったよね。あの豪が無意識にブロックを掛けているから、愛も僕に言ってくるんだろうけど、何とか助けてあげたくても人には言えない事が有るんだよ。それより精神攻撃は止めてよ。僕もかなりキツイんだからね』
 表情を一切変えずに和紀は愛に応戦する。
『豪がその気になったら皆に言うよ。それまで待って』
『……分かった』
 愛が唇を噛んで和紀への強引なテレパシーを中断させた頃、正規の説明が終わった。
「何か質問や意見は有りますか?」
 正規が問い掛けると豪がゆっくりと手を上げた。
 まさかまた? と皆が緊張で強張ると、豪が立ち上がって頭を振った。
「『天と地の理』については、何度も智と和紀から耳にタコができるくらい聞かされたから、2度と理を乱さないと誓っている。その点だけは安心して欲しい。今回は皆に相談だ」
 正規が千寿子の顔を見ると、千寿子は静かに頷いて端末を操作した。
 床が移動してテーブルと椅子が半円形から全員の顔が見られるように円形になる。
 自動的に全員のテーブルにペットボトルの冷たい紅茶が出された。
「立たなくても良いわ。相談事なら落ち着いてじっくり聞きましょう」
 千寿子に言われて豪が申し訳なさそうに席に付く。

 紅茶を飲み、何度も顔を上下させて、豪は意を決したように口火を切った。
「これは本来なら母さんにも聞いて貰った方が良い話かもしれないんだが、もうすぐ俺は18歳になる。会長から言われている7月末の期限まであまり時間も無い。ずっと考えてきたが俺1人では結論が出なかった。これ以上嘘をつき続ける自信が無いんだ。千寿子との婚約が実は嘘だったと会長や親族達に納得して貰った上で、仕事を今までどおり続けるにはどうしたら良いんだろうか?」
 豪の言葉に和紀を除く全員が固まり、特に千寿子は顔面蒼白になった。
『こういう事情だったんだ。なぜせめて僕に言わなかったんだ。姉さんの気持ちはずっと前から和紀も知ってるだろう!?』
『知ってるからこそずっと言えなかったんだよ。これは豪と千寿子さん2人の問題だよ。僕達が横から口出しして良い問題じゃないよね』
『ちょっと待ってくれ。なぜ俺にこの予知が視えなかったんだ?』
『主の奴が絶対にこの状況を面白がってんだ。何が兄ちゃんのやる事は面白いから見てて飽きないだ。洒落にならないって!』
 皆の思考が交差する中、親でもある正規が豪に向き直った。
「豪はどうしたいんだ?」
「判らない。だから困ってる。千寿子も……困ってるんじゃないかと思ってずっと気にはしていた。俺がずるずると問題を先送りにして本当にすまないと思っている」
 豪は真っ直ぐに千寿子の顔を見つめ、深く頭を下げた。
 豪から真摯な視線を向けられて、千寿子は俯いて混乱する思考を必死で整理していた。

(豪は何を言いたいの? いいえ、しっかり豪は言ったわ。「これ以上嘘をつき続ける自信が無い」と)
(豪にとってはそれが答えなのね。私との婚約は豪にとってはずっと負担でしか無かったんだわ。そうならわたしが取れる道は1つだけだわ)

 千寿子は頭を上げると真っ青な顔のまま震える唇で静かに告げた。
「豪の気持ちは解ったわ。わたしが責任を持って両親と親族に正直に話します。まず間違いなく、わたしはすぐに親族達から別の男性との婚約を勧められるでしょう。でも、これはわたし個人の問題です。仕事にも皆にも豪にも一切迷惑は掛けないわ……」
 最後の方は消えいりそうな声で言うと、千寿子はすぐにテレポートで姿を消した。
「千寿子?」
 突然の千寿子の態度の変化に豪が困惑していると、智が立ち上がって豪の頬をいきなり殴りつけた。
「馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、お前がここまで無神経な奴だとは思わなかった!」
「智、俺が何を?」
 痛む頬を押さえて豪が問い掛けると、生が後ろから豪の頭を叩く。
「いくら何でも兄ちゃんが鈍過ぎ。あの千寿姉ちゃんが本気で好きでも無い相手と嘘でも婚約なんかする訳無いだろ!」
「え!?」
 豪が生を振り返ると横から愛が豪の肩を引いて正面から頭突きをした。
「解らないなら教えてあげるよ。姉さんがどんな気持ちでずっと豪を見てきたか!」
 愛の声と共に豪の頭に一瞬で大量の情報が入ってきた。

 別邸の控え室でまだ幼い千寿子が可奈女に食って掛かる。
 栗色のロングヘアーを生花で束ね、薄いピンクのドレスに身を包み、清楚な美少女にしか見えない千寿子が怒りで瞳を燃やしていた。
「けっこん? 母様、何を言ってるの? わたしはまだ5つよ」
「わたしもあなたの歳から結婚相手を捜し続けたわ。これは宮司の巫女として最低の義務よ。今日開かれるパーティーで見つけるのよ。去年まではあなた達を雰囲気に慣れさせる為の予行演習だったの。今年が無理なら来年、それが無理なら再来年。見つかるまでずっとよ。これは愛も同じよ」
 可奈女の断言に千寿子は何度も頭を振る。
「嫌よ。ぜったい嫌。結婚なんてまだ解らないんだもの」
「わたしが父様を見つけたように、あなたもきっと見つけられるわ」
「そんな大事な事を勝手に決めないで」
「千寿子。これは命令よ」
 反論は許さないと可奈女にきつい口調で言われて、千寿子は遂に癇癪を起こした。
「母様の馬鹿!」
「姉様!」
「ちーちゃん!」
 2人のやりとりをはらはらとしながら見ていた愛と智が走り去った千寿子を追う。

 千寿子は空き室の隅で泣いていた。
「姉様……」
 愛が何と声を掛けて良いのか判らず千寿子の肩を抱き、反対側から智も千寿子の頭を撫でた。
「どうして決まりなんかで一生一緒に暮らす人を決めなきゃいけないの? 愛は嫌じゃないの? わたし達離ればなれにされちゃうのよ。わたしは嫌よ」
「僕だって嫌だよ。ずっと姉様と一緒に居たい。でも母様が決めたら何を言っても聞いて貰え無い」
 愛も半泣きになりながら千寿子にすがりつく。
「いつも僕達は大人の言う事を聞かなきゃいけないんだ。腹が立つけど僕達はまだ子供だから」
 幼少期から両親の手から離され、天ノ宮家で一緒に暮らしている智が唇を噛んだ。
「愛、さと君……」
 2人から言われて元々気の強い千寿子の闘志に火が灯る。
「母様の思うとおりにはならないわ。わたしが相手を決めるんでしょ。そうならしっかり見て「母様が言うほどの人なんか居ませんでした」って毎回言ってやるわ」
 千寿子は立ち上がると愛と智の手を握った。
「パーティーに行きましょ。絶対に負けないんだから」
「うん。かず君にも話そうよ。きっと助けてくれるよ」
 元気を取り戻した千寿子に愛が微笑んで告げる。
「あの子なら強い超能力が有るから僕も助けて貰えると思う。それに……」
 智が言い掛けると千寿子と愛が笑顔で「「何かを視たの?」」と振り返った。
「今日のパーティーで何か僕達に良い事が起こる気がするんだ」
 智の予知は外れない。それを知るからこそ千寿子と愛の頬が赤く染まる。
 きっと良い事が有ると信じて、子供達は走って両親達が待つ控え室に戻って行った。



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